投稿日: 2012年11月21日 作成者: product1125
ピストンバルブ方式は、一番基本であり、古い方式であるが、現在のダイヤフラム式のキャブレターにはピストンバルブ方式のエンジンに採用されている。
カートのエンジンにおいても、まだまだピストンバルブ方式のエンジンが多いのは事実です。
・ ピストン バルブエンジン 耐久性、メンテナンスに優れている。 外見的にはキャブレターがシリンダーに付いている。
・ リード バルブエンジン 高回転型で、扱いが難しい。外見的にはキャブレターがクランクケ-ス前方に付いている。
ピストンバルブとは、2サイクルエンジンの基本となるバルブ(弁)構造。
シリンダー壁にに設けられた吸・排気ポートに対し、ピストンが上下することでポートの開閉を行うもので、ピストン自体がバルブの役割を果たす。
シンプルな機構のためエンジン自体を小型軽量にできるが、高回転での混合気の吹き返し等の問題があり高出力化や低公害化には限界がある。そのためにリードバルブやロータリーバルブが生まれた。
現在よく知られている形のシンプルな2ストローク・ガソリンエンジンは、1889年にロンドン生まれのジョゼフ・デイ (Joseph Day) がデイ式2ストロークエンジンを発明した。
「省略できる部品は全て省略し、4ストロークエンジンでは完全に行われていた各行程を、効率を犠牲にして簡略にした」ことで実現された。バルブすら持たない簡略構造故に、簡易さが要求される小型2ストロークエンジンの完成形となった。
ストロークエンジンの給排気弁による分類
ピストン制御式吸気弁
ピストンの上下により、吸気口が開閉する。ピストン自体が弁の役割を兼ねる。
リード式吸気弁
シリンダ内が負圧になると開くリード弁により吸気を行う。ピストン弁より多くの回転域に於いて良好な出力特性を示す。ピストン弁式のように混合気をクランクケースから排出しない。
通常のリードバルブ式2ストロークエンジンは逆回転が可能である。メッサーシュミット KR200はエンジンを逆回転させることにより後進した。模型飛行機用ではプロペラのねじりがどちらでも使える。 多くの初期の小型の船舶用2ストロークエンジンではシリンダ内が負圧になると開くポペットバルブが使用されていた。慣性質量の為、低回転域に於いてのみ逆回転が可能であった。
ロータリー式吸気弁
クランクウェブロータリーバルブ式と、ロータリーディスクバルブ式の2つに分かれる。 a)クランクウェブロータリーバルブ式クランクシャフトにあるクランクウェブの一部を切り欠いて吸気弁とする方式である。吸入方向はクランクケースリードバルブ式同様、クランク軸放射(ラジアル)方向である。
利点は
1.コンロッド大端部へ混合燃料が直接接触するため、潤滑油混合比を薄くすることが可能である(50:1)
2.開閉タイミングを任意に設定することが可能で、慣性による過充填が一番期待できる。欠点は回転バランスを取ろうとすると一次圧縮比が低下してしまうことで、逆に一次圧縮比を維持しようとすると回転アンバランスで機関の振動が増えてしまう。
代表車種 ピアジオ:ベスパ125系(1957~1978)、ベスパ150系(1960~1975)、ベスパ90系(1963~1999)、ベスパ180ラリー系(1966~1977)、ベスパP系(1976~)ベスパPK系(1979~1998) 富士重工:ラビット
b)ロータリーディスクバルブ式 専用の円盤弁を用いて吸気弁とする方式である。 吸入方向はクランク軸同軸(アキシアル)方向である。利点は開閉タイミングを任意に設定することが可能で、慣性による過充填が一番期待できる。欠点はキャブレターをクランクケースと同軸方向にセットしなければ吸気経路が延びてしまうことで、同軸方向にキャブレターをセットするとキャブレターがエンジンより横へ飛び出てしまうことから・・・キャブレターの設置場所に難があることである。
代表車種 ヤマハ:メイト、YB125、YB50/90/-1 スズキ:RG400/500Γ、K50/90/125、2サイクルバーディー50/90、バンバン90/125 カワサキ:KV75、KM90、AR125(リードバルブ併用)、KE125、A1/A7、KR250
クロス式掃気
掃気孔と排気孔が向かい合った形のもの。そのままでは掃気孔からの新気が素通りして排気孔へ逃げてしまうため、ピストン頂部を山形に盛り上げたり、掃気の流れを上向きにすることにより排気孔に逃げる新気を減らす工夫がなされる。それでもやはり燃焼室内を素通りする新気が多く、燃焼室上部に燃焼ガスが残りやすいという弱点のため現在ではあまり用いられない。
[5] ループ(反転)式掃気
掃気孔を排気孔の正面から左右にずらした位置に配置することにより、掃気孔からの新気を一度シリンダ内面にぶつけたり、それぞれの掃気孔からの新気をぶつけるなどして反転させて燃焼ガスを追い出す方式である。掃気・排気孔の配置によってシニューレ式・MAN式・カーチス式などがあるが、シニューレ式が一般的である。高性能2輪車のエンジンでは掃気孔の面積を大きくするために、さらに一対の補助掃気孔を追加したり、排気孔の向かい側に掃気孔を設けているものもある。クロス式に比べて掃気性能は向上するが、シリンダ内のガスの流れが複雑になるためにシリンダの温度が不均一になって、熱歪みが発生しやすくなるのが欠点である。
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